久々に漫画を全巻一気読みしたので感想というか好き勝手にはなしますね。
チ。―地球の運動について― (作・画 魚豊)
地、知、そしてそれによって流された血にまつわる物語。
とくに知性についての言及が多くて、知性といかに向き合っていくかというのが主題の一つであると思います。
とにかく登場人物達の対話が示唆に富みまくっていて、全巻にわたって対話のボリュームがたっぷりです。最終巻なんかはボリュームたっぷり過ぎて本読んでる気分でした。(読むん大変だった…)
自分はあんまり知性がないので深い考察などは他の方におまかせして気に入った言葉と感想をつらつらと書いていきたいと思います。
第2集
君の言うように、この世は喪失で溢れている。それに、人はいつか死んでここを去る。
でも、私が死んでもこの世界は続く。だったらそこに何かを託せる。
それが喪失まみれのこの世界から生まれたある種の、希望だ。
チ。―地球の運動について― 第2巻
グラスさんがオクジ―君に言い残したセリフ。
わたしはこの「自分が果たせなかった想いをのちの世代に繋いでいく」、みたいの好きなんですよね。
鬼滅の刃で鬼殺隊の人たちが自分が死んでもみんなが思いを繋いで必ず鬼に打ち勝ってくれる、と信じて逝ったのを思い出したり。
自分はぼっちなのでこういうの余計憧れますね。別に淋しくないけど!
第3集
異教徒の神話にイカロスという者がいる。蝋の翼で太陽を目指し墜落した者だ。
彼の誤りは、太陽に挑んだ傲慢さではない。
蝋が溶けるという父の警告を軽んじた無知にある。
我々は蝋でダメなら鋼の翼を作り、太陽へ挑み続ける。今、あと一歩足りてないのはその無謀さだ。
チ。―地球の運動について― 第3巻
ピャスト伯のイカロスについてのセリフ。率直に「なるほど!!」と。
無知がいかに危険なものかというセリフ。
ずっと前と同じ空を見てるのに、少し前からまるで違く見える。
だろうな。
え?
きっと、それが何かを知るということだ。
チ。―地球の運動について― 第3巻
こちらはバデーニさんとオクジ―君の会話。
今まで当たり前にみていたものが本質を知ることまるで違ったものに見えてくる。
先ほどのイカロスについてのセリフは無知の危険を語ったものですが、こちらの会話は知識を得ることの感動や喜びを表していると思います。
第4集
文字というのは特殊な技能、言葉を残すのは重い行為だ。
扱うには一定の資質と最低限の教養が要求されるべき。
誰もが簡単に文字を使えたらゴミのような情報で溢れかえってしまう。
そんな世の中目も当てられん。
チ。―地球の運動について― 第4巻
そんな世の中になってしまいましたね…というか自分もこうやって文章を書いている人間なので(コ゚、ゴミのような情報…)とドキリとしてしまった……
ネット上で気軽に自分の気持ちを吐き出せるのもいいけど人の目に触れる言葉は深く考えて発信したいものですね。
第6集
「考えろ」
その為に文字を学べ。本を読め。
「物知りになる為」じゃないぞ。「考える為」だ。
一見、無関係な情報と情報の間に関わりを見つけ出せ。ただの情報を、使える知識に変えるんだ。
その過程に、知性が宿る。
チ。―地球の運動について― 第6巻
ドゥラカちゃんに叔父さんが語った言葉。
知性を得るためには何事も自分で考えることが大切なんですよね。情報を得るだけではなくて自分で考えることが大事。
この叔父さん、なかなかアレなひとでしたが語っていることはとても知的で的確でしたね。一流詐欺師みたいな。
そのほか。
バデーニさんが好きです。かっこいい。わたしも「アーメン」ってして欲しい。
最初他人は一切受け入れないようなところがありましたがオクジー君やクラボフスキさんと接して対話しているうちに段々と変化していきあの結果を迎えることが出来たところもとても良いです。
ちなみに我が家はあさ玄関を開けるとちょうど目の前に昇ってきた太陽が見えるのですが、この漫画を読破した翌朝は玄関を開けた瞬間に思わずこれ
やってしまいましたね。
これからも毎朝、家を出るときについやっていきそうです。
これ以外にも紹介したいような名シーンがいーーっぱいあるので気になった方は一読してみることをオススメします。
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